しずくライアー製作ワークショップも3日目になりました。
裏側を彫っていたところから、いよいよ表面です。
比較的なだらかな裏面と違って、表面は起伏がありますので彫るのは難しくなってきます。
初日は小さかったノミの音も、さくっさくっと力強く心地よい音になってきました。
木の杢目があるので、硬いところ、柔らかいところ、つるつるしているところ、ざらざらしているところ、と場所によって質感はさまざま。
そのひとつひとつ彫る力加減は木と話しながら感覚で覚えてゆきます。
このくるみの木は、岩手県のくるみです。
くるみは縄文時代から食料として大切にされてきました。
特にここ南部地方(岩手県北部〜青森県南部)は、海から吹く冷たいやませの影響でお米がとれづらく、
くるみや栗なども大切にされてきたということです。
このくるみの木はとても大きいので相当な時を経て育まれてきたと思われます。
このくるみが芽生え、育つあいだ、たくさんの出来事が世界を巡っていったに違いありません。
その世界の変化を見守りながら大きく育ったくるみ。
このくるみも生まれたときにはすでに、ライアーという楽器として新たに生まれかわることを決めていたのかもしれません。
このくるみが生まれたときには生まれてもいなかった私たちがライアーと出逢い、ライアー工房を始め、このくるみと出逢い、今日この日にレムさんが作っている、というこの流れも
もうこのくるみはすでに知っていて、その時をずっとずっと待っていたのでしょう。
このくるみを提供してくださった製材所の社長も、会社に昔からずっとこのくるみがあったことをすっかり忘れていたそうです。
きっとひっそりとこの日を待っていたのでしょうね。
そう思うと本当にこの大きな流れはすでに決まっていて
過去も現在も未来も、すべて安心のなか繋がっているのだなと改めて思いました。
0コメント